最近感じる問題意識 〜多様性からかけ離れている我が国〜

スポンサーリンク
Notebook

私の勤務する学校は、かなりの割合で外国にルーツを持つ人が多いです。見た目や名前を見て明らかにそうだとわかる人もいれば、表面的には分からないけど実は外国にルーツを持つ人もいます。

私は単純に「何故こんなに外国にルーツを持つ人がこの場所に集まるのか」を不思議に思っていました。

それまでいわゆる一般的な学校にしか勤めた事がなかった私は、今の現状がただただ異様な光景として目に映りました。

私の勤務する学校は、正直言って偏差値や学力レベルという観点で考えればかなり低いレベルにあるのが現状です。人柄やポテンシャルというものは抜きにして、入学時点でのそれらのレベルは県内最下位レベルです。外国にルーツを持つ生徒だけに限らず、純粋に勉強が苦手という生徒もいるし、中学で不登校を経験した人。中には発達障害を抱えた生徒もいて、多種多様な問題を抱えた生徒が多い学校だと思います。

私が不思議に思ったのは、そういう学校に、何故にここまで多く日本以外にルーツを持つ人間が集まることになるのだろうかという事です。

話してみればみんな優しく、思いやりがあり、人の話だって一生懸命聞こうとする。

そんな彼らが何故?と考えた時に、日本が持つさまざまな制度に、かなり多くの問題が孕んでいるんじゃないのか?と思ったわけです。

早速、『外国人  学びたくても学べない』というキーワードでググってみたところ、興味深い記事に出会いました。

数年前の記事になりますが

『学びたくても学べないーー外国人の子どもたち「不就学」の実態』というYahooニュースでした。

学びたくても学べない―― 外国人の子どもたち「不就学」の実態 - Yahoo!ニュース
外国人労働者の受け入れ拡大が進み、日本語ができない子どもが急増するなか、教育現場の対応が追いついていない。就学状況を確認できない外国人児童・生徒はおよそ1万6千人。 現場で何が起きているのか。

冒頭から、日本に来る外国人の子どもたちがますます増える可能性がある中で、「日本語ができない子どもたちが急増する中、教育現場の対応が追いついていない…」との記述がされていました。

最初に取り上げられていたのは大阪府立 門真なみはや高校さんでした。

当時全校生徒の約一割を占める外国人生徒たちに対応し、彼らが母国へのルーツを誇りに思えるように母国語の授業を取り入れたり、日本人生徒が日本史Aを学んでいる時間に、別の場所では他の先生が時折英語を交えながら同じ『日本史A』を、やさしい日本語を使いながら授業をしている事もあるそうです。

正直なみはや高校さんのシステムを詳しく知るわけではないけれど、その手厚さに驚きを隠せませんでした…。

逆に悲しいことながら、それだけ私の職場では教員の資質が低いと言わざるを得ないのかもしれません。英語を交えて簡単な日本語で授業をする事も出来なければ、彼らが自分たちのルーツに対して誇りを持つ機会はハッキリ言って作られていません。

正直言って学校のシステムも不十分で、教職員の数も足りておらず、そもそもが入学時点で「学力レベルの低い人」とレッテルを張った人に対しておこなわれる、質の低い一斉授業に過ぎないと言っても過言ではありません。

まさに「日本語ができない子どもたちが急増する中、教育現場の対応が追いついていない…」状態を如実に表した現場なのかもしれません。

私は4月からのこの2ヶ月弱、今の職場で働く中で、何かに疑問を持ちながら悶々としていましたが、だんだんその正体が見えてきたような気がしています。

それは『「学びたい人が学べる」環境がこの国にはあるのかな??』という疑問です。

私は、自分自身の基本スタンスとして「学びたい人が学べば良い。」と思っています。それはわざわざ人から強制的に連れてこられた学ぶ気もない輩に、学びたいと願う人たちの時間を邪魔されたくないからです。

ただ、そう考えた時に「逆に学びたい人が学べる環境はあるのか?」となった場合、この国の色んな制度や風習が邪魔をしてしまっているんじゃないかと感じています。

具体的にどんなことが邪魔をしているのかは今の私の知識では分かりません。ただ、学びたいと願う人がたらい回しにされたり、門前払いされたり、学ぶ事に希望が持てなくなる社会は良くないなって思います。

冒頭に紹介したニュースの中には、外国人の子どもが「親は日給、月給の仕事。どうせ俺もそう。学校に行ってもムダ。」と思っている子どもたちが数多くいると綴られています。

また、それとは逆に「一生懸命働いて家族の力になりたい」と願うけども『制度の壁』に当たってそれが叶わない子どもたちもいるようです。この(2019年)時点では、通常日本で働くためには「家族滞在」から「定住者」などに在留資格を変更する必要があるらしく、その変更を申請するには「我が国において義務教育の大半を修了していること」という条件が必要だそうです。

また、経済的に厳しい家庭の場合、日本人ならば「日本学生支援機構」の奨学金をスカラネットなんかを使って申請できますが、それも先程出てきた在留資格が「家族滞在」では申請出来ないそうです。

生まれも育ちも日本で、在留資格の問題もクリアしている外国人の子どもたちが一体どれくらいの割合で存在するのか…ちなみに「日本学生支援機構」が定める奨学金を申し込めるか否かの基準は

法定特別永住者・永住者・定住者(将来永住する意思のある者のみ)・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等なお、これ以外の在留資格(「家族滞在」・「留学」等)の人は申し込むことはできません。

独立行政法人 日本学生支援機構 よくある質問 より

とあります。

それぞれの割合は、令和2年現在「法定特別永住者」が10.7%、「永住者」が27.8%、「定住者」7.1%、「日本人の配偶者等」5%、「永住者等の配偶者等」1.5%となっており、合計すると52.7%となります。

この数字を多いとするのか、少ないとするのかは様々な考え方があると思いますが、少なくとも全体の半数近くの人が、奨学金に関しての申込みは不可能というのが現実です。そりゃ日本側としても、将来日本の力になってくれるかどうかも分からない人に、無闇矢鱈にバンバン奨学金は出せないっていうのも分かりますが、その背景に不当に苦労を強いられている人の存在がありそうです。

そんな事が重なると、わざわざたらい回しにされて結局「無理でした」なんて言われる可能性がある『進学』という選択肢より、その日、またはその月を繋ぐお金を得られる割の良い仕事を求めて、とりあえずお金を稼ぐために働くという選択肢を選ぶのも無理はありません。

また、あろう事か行政の窓口では、日本語がまだおぼつかない外国人の親子が「学校に通いたい」旨の申請をしにきても、職員から「無理に入らなくていいですよ。どこかで勉強して日本語が上手になったらまた来てください。」と門前払いされるケースもあるようです。これも決して窓口の方が悪いんじゃなくて、そういう『学びたい』と願う人たちに手を差し伸べられる制度がないのが、本当に大きな問題なんだと思います。

こんな状況をニュースで読んでいると、「もし自分が外国人の家族だとしたら、絶対日本みたいな制度も整わない上に、違いを受け入れようとする気が少ないような島国には住みたくないだろうなぁ…。」と思います。 

すると記事の中で案の定、「外国の人たちに選ばれない国になっていくだろう。」と。「家族で来られるような社会じゃない。」と評されていることを知りました。残念ながら一部の人からそのように見られているのが、私たちの住んでいる国、『日本』の現状のようです。

四月からの勤務地のおかげでとても貴重な問題意識を持つことが出来たような気がします。いわゆる高学力のエリートに対してのみ開かれたものではなく、より多くの人たちに『学ぶ』という事の門戸が開き、その先に素敵な未来を描くことが出来る社会にしていきたいものです。

今の私に出来るのは、先ずは知ること。そして調べること。誰のために…それは未来を生きる『学びたい』と願う人たちのために。

さぁ今日も必ずいいことがある!!

Notebook
スポンサーリンク
シェアする
motyoroをフォローする
ワク男の趣味ブログ

コメント